胸の痛み

胸の痛み

胸の痛み現在、女性の11人に1人が乳がんにかかるとされ、著名人の乳がん告白により多くの人が自身の胸の健康に興味を持ち始めています。中には、これまで気付かなかった胸の症状に気づいたり、痛みを感じて不安になる人もいます。最近、定期的に胸が痛くなるようになったと感じる人もいるかもしれません。
胸の痛みと乳がんには直接的に関連しているのでしょうか?また、乳がんと間違えやすい症状や、それぞれの特徴についても解説します。

胸の痛みや腫れを感じる時の対処は?

胸の自己検診を行って、胸の違和感や痛み、腫れなどを感じた場合は、乳房の病気の専門の乳腺外来のある病院を受診しましょう。
乳がんの検診を産婦人科でも行なっている場合がありますが、乳腺科のプロフェッショナルがいるクリニックや病院を受診しましょう。

乳がんのセルフチェックについて

乳がんに似た症状の疾患は何がある?

乳房のしこり、痛みや腫れなどの症状を覚え、乳がんではないかと乳腺科を受診される方は少なくありません。しかしながら、これらの症状がある場合に必ずしも乳がんであるとは限りません。

下記の4つの疾患でも同じような症状が出るため、乳がんと鑑別が難しいとされています。

乳腺症

乳房の違和感の検査結果が乳がんではなかった場合、「乳腺症」と診断される場合があります。実は「乳腺症」は病名ではありません。悪性腫瘍ではない痛みやしこりの症状を総称して乳腺症と指し示します。また、乳房に水が溜まるのう胞も乳腺症に分類されます。

乳腺症の場合もしこりが出来る?

乳腺症も乳房にしこりが出来る場合があります。そのため乳がんではないかと疑う方も少なくないでしょう。しかし、乳がんのしこりと乳腺症のしこりでは種類が異なります。
具体的には乳腺症によるしこりは、はっきりとした境界線がないような弾力性があります。
いずれの場合も、胸のしこりは良性なのか悪性なのかを自己判断することはできませんので、ですから一人で思い悩まず当院までご相談ください。

乳腺症のしこりは痛みを伴う?

胸の痛みやしこりには生理周期が深く関わっており、その痛みは状況に応じて変化します。ほとんどの方は、生理前に強い痛みを感じ、生理が終わると同時に痛みは和らいでいきます。また、乳房の痛みがある場合も閉経した後は自然と引いていくことがほとんどです。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンが過剰な状態が、乳腺症の痛みを感じる要因と考えられています。

乳腺症について

乳腺炎

乳腺炎乳腺炎のほとんどは、細菌感染による乳腺の炎症です。症状として乳房のしこりや痛み、赤い腫れ、高熱などの症状が挙げられます。また乳房や脇周りにあるリンパ節に沿って腫れ、炎症が生じます。

授乳期の乳腺炎

乳腺炎は産後の授乳期に起こることがあります。その原因の多くは赤ちゃんが上手に母乳を吸うことができない、母乳の過剰分泌などで乳腺内に母乳が溜まって起こる炎症「急性うっ滞性乳腺炎」です。

乳腺症になった場合、その痛みは両方の乳房に生じることがほとんどです。授乳が終わりに近づくと、女性ホルモンのエストロゲン分泌量が増えてきます。その結果、乳腺が乳腺症変化を起こし、乳房が痛むことがあります。

授乳期以外も陥没乳首の人は注意が必要

陥没乳首には汚れが蓄積しやすいと考えられています。そのため、授乳期ではなくても乳頭「化膿性乳腺炎」という乳腺に細菌が入り込む炎症を引き起こす場合があります。炎症の予防には日頃から乳首周辺を清潔に保つことを意識することが大切です。

こんな時は要注意

赤く乳房が腫れているにも関わらず、痛みを感じない場合は「炎症性乳がん」のことがあります。炎症性乳がんの特徴は痛みやしこりがないのに乳房が全体的に晴れるという症状です。皮膚の細かい凹凸が増えたように見えます。

炎症性の乳がんは乳腺炎と似通っており、非常に進行が早いがんとされています。進行すると脇下への転移が起こり、リンパ節が腫れることもあります。乳房や脇の周りに異変を感じた場合は、ためらわず当院までご相談ください。

乳腺炎について

乳腺線維腺腫

乳房にしこりが出来る症状の一つに線維腺腫があります。線維腺腫は触れるとコロコロ動くのが特徴な良性の腫瘍です。線維腺腫が増大し、痛みを伴った時点でしこりを実感する方が多いです。

医療機関で超音波検査やマンモグラフィなどの画像検査、あるいは細胞診によって線維腺腫と診断された場合、その腫瘍は悪性腫瘍となる可能性はなく、がんに進展することはありません。
腫瘍は基本的に3cm程度まで成長し、その後は成長が止まる傾向があります。しかし、3cmを超えて大きくなり、痛みを引き起こす場合には、腫瘍の部分的な切除も検討します。

こんな時は要注意

乳房にあるしこりが急激に大きくなっていく場合、その原因の一つに葉状腫瘍が考えられます。葉状腫瘍は、乳房にできる良性の腫瘍の一種で、一般的には乳がんとは異なる病気ですが、治療のために手術を受けることが必要な場合があります。

乳腺線維腺腫について

葉状腫瘍

葉状腫瘍によっても乳房にしこりが生じることがあります。葉状腫瘍はほとんどが良性の腫瘍であり、そのしこりは触るとコロコロと動く線維腺腫に似通ったしこりです。しかし、良性か悪性か判断が難しい腫瘍も存在するので、基本的には腫瘍が生じたら手術で腫瘍の切除を試みます。

手術で腫瘍のみを切除した場合、周囲の組織に再発しやすい傾向にあります。
再発が何度も起こると悪性の腫瘍になることがあります。再発を防ぐため、葉状腫瘍の手術では腫瘍の周りの正常な組織の部位も含め、広めの部位を切除します。

葉状腫瘍について

乳房に違和感を感じる方はすぐに当院へ

乳房に痛みを感じても乳がんの症状ではないことがほとんどです。
しかし、乳がんが発症した際には、むくみやリンパ節、頭痛などの痛みの症状が出ることもあります。特に骨に乳がんが転移した際は、大きな痛みを伴います。
いずれにしろ、乳房のしこりや痛みから自分で原因を特定することは難しく、きちんと検査をして鑑別する必要があります。乳房の痛みや腫れ、しこりを感じた時は、できるだけ早く当院に相談してください

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